お役立ちコラム
column
受変電設備の耐用年数は何年?更新タイミングと費用相場を徹底解説
2025年06月19日
工場やビル、商業施設などに欠かせないのが受変電設備です。
安定した電力供給を支える心臓部とも言えるこの設備にも、当然ながら寿命があります。
老朽化したまま使い続けると、思わぬトラブルや停電のリスクを招くだけでなく、修理・更新コストがかえって高くつく場合もあります。
本記事では、受変電設備の法定耐用年数や実際の使用年数の目安、適切な更新時期、さらに更新にかかるコストの相場について詳しく解説します。
施設の安定稼働を守るために、早めの点検と計画的な更新の重要性をぜひご確認ください。

受変電設備の耐用年数について
受変電設備は、安定した電気の供給を維持するために重要なインフラの一つです。
この設備は、長期間にわたり安全かつ効率的に稼働させる必要がありますが、経年劣化や技術進歩に応じて、適切な時期に更新を検討することが求められます。
受変電設備とは何か
受変電設備とは、電力会社から供給される高電圧の電力を、建物や工場などの各施設で利用できる電圧に変換するための装置や機器の総称です。
主に変圧器、遮断器、開閉器、計器用変成器などで構成されており、電気の受電・変電・分配を担います。
これらの設備は、安定した電力供給や設備機器の保護、安全性の確保など、社会インフラや事業活動にとって不可欠な役割を果たしています。
設計時の耐用年数の想定
受変電設備の設計時には、各機器の耐用年数を考慮して設備計画を行います。
一般的に、変圧器や開閉器などの主な機器については20年〜30年程度の耐用年数を想定しています。
ただし、環境要因やメンテナンス状況によって実際の寿命は前後します。
設置時から定期的に点検・保守を行い、長期的な視点で更新やリニューアル計画を立てることが、安定した設備運用には不可欠です。
更新時期の目安と判断基準
受変電設備の更新時期は、法的な耐用年数だけでなく、実際の運用状況や設備の状態を総合的に判断して決定することが重要です。
設備の劣化や不具合が発生する前に計画的な更新を進めることで、安全性や安定供給の確保につながります。
ここでは、耐用年数に関する法的基準と、設備更新が必要となる主なサインをご紹介します。
法的な耐用年数と実際の運用年数
受変電設備の法的耐用年数は、固定資産としての減価償却期間に基づき、一般的に15年〜17年程度と定められていることが多いです。
しかし、実際の運用では20年~30年と、法定耐用年数よりも長期間活用されるケースが多く見られます。
これは、定期的なメンテナンスや部品交換により、設備の寿命が延長されているためです。
ただし、法的耐用年数を超えた設備は、突発的な故障リスクが高まるため、早めの更新を検討する必要があります。
更新が必要となる主なサイン
受変電設備の更新が必要となるサインには、設備の不具合頻発や動作不良、発熱や異音、絶縁劣化などが挙げられます。
また、メーカーによる部品供給が終了した場合や、省エネ・安全基準への適合が困難になった場合も、更新を視野に入れましょう。
点検時に経年劣化の兆候が見られたり、動作試験の結果が基準値に満たない場合も、計画的な更新が望まれます。
故障による長時間の停電や生産活動への影響を防ぐためにも、これらのサインを見逃さないことが大切です。
受変電設備の更新にかかるコストの目安
受変電設備の更新には、設備の規模や仕様、現場状況によって費用が大きく異なります。
設備の老朽化度合いや既存設備の解体、配線工事の有無など、個別条件を十分に確認したうえで予算計画を立てることが重要です。
ここでは、一般的なコスト相場や、その内訳について解説します。
設備規模別の一般的な費用相場
小規模な商業施設やマンションの場合、おおよそ500万円〜1,000万円程度が更新費用の目安となります。
中規模以上の工場やビルでは、1,500万円〜3,000万円規模、より大規模な施設では5,000万円を超えることもあります。
設備の容量や設置スペース、現場環境によっても費用は変動しますので、具体的な相場は事前の現場調査や見積もりにより確認が必要です。
工事費・材料費・設計費の内訳
受変電設備の更新費用は、大きく「工事費」「材料費」「設計費」に分かれます。
工事費には設備の解体や新設、配線工事、安全対策費などが含まれます。
材料費には変圧器や開閉器、配電盤、ケーブルなど各種機器・部品の価格が含まれます。
設計費は設備計画の作成や各種申請書類の作成にかかる費用です。
安全性確保のための臨時対策費や、夜間工事など特別対応が必要な場合は、追加費用が発生することもあります。
まとめ|受変電設備の適切な運用と更新で安心の電力供給を実現するために
受変電設備の適切な運用と計画的な更新は、設備トラブルによる停電や事故を未然に防ぎ、安定した電力供給を確保するうえで非常に重要です。
建物や施設の規模・用途に応じた最適な保守・点検体制を構築し、耐用年数や劣化状況を定期的に確認することが求められます。
今後も技術革新や法規制の変化に合わせ、専門業者と連携して、安心で信頼性の高い受変電設備の運用を目指しましょう。